《神》
『MYTH』における「神」は創造神という位置づけではなく、「神族」という種族にあたる。
その中でも《神》と表記している神は、神族の頂点に立つ者を指す。
しかし、 ヒト族 にとって「 ラニ・アンシャル 」と「 パウ・ファンザム 」以外の「神」という存在の定義は曖昧で、 エーリエル諸島 にて最後にヒト族の前に姿を現したとされる神や、月で眠っていると言われている神も、《神》と同一視されている。
また、神族の総称として使用することもあり、この単語の定義自体が曖昧なものとなっている。
 
《光と誕生の神「ラニ・アンシャル」》
始まりと天を司る光の神で、 東の大陸ロザル教 にとっての絶対神である。パウ・ファンザムとは対の関係。
古の記録では《シエロ》という名の天使が力を得て神へと変じた存在だとされる。
裁きの神とも言われる彼は冷静で物静かな神で、決して罪を許さず、全ての存在に対して平等であると言われている。善行には救いを、悪行には裁きを下すとても分かりやすく信仰されやすい神である。
ヒト族からは「全ての生命の父であり、加護と祝福を与えてくれる慈悲深い神」として信仰されている。
 
依り代となるのはニュート《白銀》の直系。
ニュートが実際にラニ・アンシャルをその身におろしたという記録はない。しかし、未来視とも言える夢見の力や、無意識下の異常に強力な呪いを持つこと自体が神とかかわりを持つ証拠だとされている。
また、ラニ・アンシャルの欠片とも言われる《光の紋章》を代々受け継ぎ守っているのもニュートである。
 
《闇と終焉の神「パウ・ファンザム」》
終わりと地を司る闇の神で、 西の大陸グラフィエル教 にとっての唯一神である。ラニ・アンシャルとは対の関係。
古の記録では《ティエラ》という名の天使が力を得て神へと変じた存在だとされる。
破壊の神、終(つい)の神とも言われる彼は刹那的で気まぐれな神で、様々な「終わり」を無作為に全ての者にもたらすとされている。そのため、彼に救いや慈悲を請う者は居らず、ただひたすらに畏怖される神である。
ヒト族からは「四属性を従え、全ての生命に等しく無慈悲で無秩序な死を与える神」として畏れ敬われている。

依り代となるのは オリガ の家系である ベルティナ家 の直系。彼らは正真正銘のヒト族である。
オリガの家系は魔力も特別高くはなく特殊な能力を持つわけでもなく、紋章も所有していなかったので、パウ・ファンザムを降ろすまでは ケモル荒野 の一角にある小さな家系だった。パウ・ファンザムの依り代の血筋であることは代々語り継がれていたが、他国の者はそれをただの狂言として取り合わなかった。
実際にパウ・ファンザムを降ろしたのはオリガの祖父 オレグ が初めてで、北部大戦の折に神の力をもって他国を屠り、当時の大国であった ヘカドス王国 の国土の大半を奪い ファンザム帝国 の建国にまで至った。