ニュート

半獣人と獣の姿を使い分けて単独で広範囲に分布する妖精族の一種。
「夢」に干渉する能力を多く持っており、珍しい外見や宝石のような骨を持つことからヒト族の干渉(狩り)を受け、種としてはほぼ絶滅状態である。
また、制御不能の強い《呪い》を持つとされており、過去にいくつもの人や国を破滅へと導いている。
 
ヒト族から《神の使者》《神の代弁者》とも呼ばれていた種族。
ヒト族の容姿に獣の耳と尾を持つ半獣人の姿をとっており、獣そのものにも変身できる。どちらの状態が本来の姿なのかは不明。獣の状態のときの種類は狼・狐・狸などが多いが、リス・兎・熊などの場合もあり、血縁に関係なくランダム。体毛の色は半獣人の時の髪や耳の色と同じ。
種としての繁殖力は強くはなく、潜性種族のため、純血のニュート同士でなければニュートの外見を持って生まれてこないため、希少種である。
※繁殖に関しては、交尾は半獣態同士で行われるため、獣の時の種類が不一致でも問題ない。
 
ニュートの骨は黒水晶のような美しい黒い石でできている。ヒト族にとって《神の使者》は権力の象徴ともされたため、王族に飼われたり権力や高価な骨を求める富裕層やコレクターによって乱獲された時期があった。しかし、ニュートを傷つけたり私欲のために利用した者はもれなく一族郎党滅んでいる。(=ニュートの呪い
 
元々は東の大陸にしか生息しない種族だったが、《神》が眠りについてから繰り返された上記のようなヒト族による干渉(狩り)の影響で、種としてはほぼ絶滅状態となった。
絶滅の危機から逃れるために、一部のニュートは西の大陸へと逃げ込んだ。そのニュートたちも不慣れな環境では極一部しか生き残ることが出来ず、今では生存を確認できるニュートは数えるほどとなっている。
また、東の大陸に残ったニュートは絶滅している。

 

《ニュートの種類》
《ニュートの呪い》は全てのニュートが持つ能力だが、《夢》に関する特に強力な力を持っているのが、ニュートの中でも《白銀》と《黒銀》とよばれる部族である。
白銀は《光の紋章》を持ち、ニュートたちを西の大陸へと逃がし絶滅の危機から救った種。光と誕生の神「ラニ・アンシャル」の依り代であり、《夢見》の力に長けている。子孫はキシュルやラタル。
黒銀は紋章は持たないが、強力な《夢授》の力を持つ。夢を見せるどころか、それが現実であると誤認させ洗脳することまでできる。現在のイアー王国の巫女シビル。
 
《夢見(ゆめみ)》
全てのニュートが持っている能力。
予知夢のようなもの。明晰夢とは全く違い、本人の意思でコントロールできるものではない。一般人の夢と同じく見たい時に見れるものでもなく内容も本人の意思でコントロールできるものではないため、「○○の未来を見る」などといった指定は出来ない。
見ることのできる未来の精度には個体差や得意分野があり、数日以内の事を鮮明に見る者もいれば、十数年後の大きな流れや事象を見る者もいる。
ラタルはこの《夢見》の精度が極めて高く、それを利用して東の大陸での地位を手に入れたが、この能力で苦しむことも多い。
 
《夢授(ゆめさずく)》
ほぼ全てのニュートが持っている能力。ただし、思い通りに制御できるのはその中でも極一部のニュートのみ。
自身の瞳を見た者に《夢》を授け、ほんの一瞬の白昼夢から長期に渡る昏睡状態に陥れることまでできる。見せる夢の種類は眠らせる瞬間に指定できるが、その時指定したものから変更はできない。
《黒銀》は、見せた夢が現実であると誤認させ洗脳することまでできる。イアー王国の巫女シビルは、これを利用してイアー王国の王族の記憶を書き換え、ニュートの居場所を作った。
 
《夢喰(ゆめぐらい)》
全てのニュートが持っている能力。他者が見ている夢(または本人が「夢であってほしい」と強く願ったため夢か現実か判断がつかない記憶)を覗き見て、その夢の記憶を奪う能力。
夢と現実の境界が曖昧だった幼少期のティラルは、この能力により度々記憶を奪われていた。
 
《ニュートの呪い》
ニュートは「強い感情を向けた対象と物理的な距離を置いた際に、その対象に災いをもたらす」という強い《呪い》が無意識下で発動する種族で、この呪いは本人の意思では制御できない。
対象は生体や物、国にまで至り、過去にニュートの呪いで滅んだ国も存在する。
直近では、西の大陸のヘカドス王国がこの《呪い》の影響で急激に衰退したとされている。
東の大陸ではニュートが絶滅して100年以上経つが、その存在の危険性は語り継がれている。
 
おまじない
《ニュートの呪い》から守りたい国や人に対して、ニュート自身が体の一部(主に指の骨)を託して呪いの発動を抑制する行為全般を指す。
呪い除けの効果の有無に関しては実証されていないので、「おまじない」と呼ばれている。