竜族

神話時代イニス と並んで 《神》 の次に強大な力を持つとされた《竜王ドラゴネル》と契りを交わした、 ヒト族 の娘の子孫。
娘は 《初代竜王》 と呼ばれ、その直系の竜族(竜王候補)は代々《初代竜王》個人の「記憶」をすべて引き継いで生まれてくる。そのため、竜やイニスはその記憶を持つ竜族を《初代竜王》と同一人物として認識する。竜族は言語を用いることなく竜との意思疎通が可能である。
 
《初代竜王》はヒト族だが、その子孫はその身に竜の血を宿しているためヒト族ではなく、竜族という新しい種族となった。
半身がヒト族、もう半身が竜であり、皮膚の一部が竜の鱗で覆われている。竜と同等の視力を持ち(竜の眼と呼ばれている)、剛力。寿命は100年ほどで、成人の見た目はほぼヒト族と変わらない。
片親を竜とする竜族の繁殖方法と誕生する個体の成長過程は非常に特殊である。その繁殖方法は《初代竜王》の記憶を持つ者にしか分からない。
人との交配で血が薄まることはなく、《初代竜王》の記憶を持つ竜族と竜との間に生まれた子のみが《初代竜王》の記憶を引き継ぎ、王位継承権を得る。
一度竜王としてドラゴネルに選ばれた者がその権利を自らの意思で破棄,またはドラゴネルに見限られると、竜の加護を失い徐々に衰弱し、やがて命を落とす。
 
 
《母体が竜の場合》
卵生。孵化した時点では竜の尾が生えており、表皮のほとんどが竜の鱗でおおわれている。個体によっては薄い翼が生えている場合もある。
共通して尾の先に鋭い刃が付いており、それを使用して卵を割って生まれてくる(この刃は不思議と自分を傷つけることがない。)。刃は生まれてすぐ尾から分離する。この刃を自らが生涯愛用する武器に加工する場合が多い。
尾は成長と共に次第に短くなり、5歳ほどで消滅する(または切れる)。翼は根元から抜け落ち、表皮の鱗も同じく10歳ほどで全体の20~30%程にまで減り、ヒト族に近い見た目になる。
母竜に育てられるため、竜の意思を汲み取る事には長けているが、5歳までは人の言葉をほとんど喋らないため言葉遅れが起きやすい。根本にある感覚が竜に近く、ヒト族の感覚とはズレていることが多い。
 
《母体が竜族の場合》
胎生。母体を傷つけないために、誕生時には尾も鱗もない。見た目はヒト族の赤子と同じだが、10歳になる頃までに徐々に表皮に鱗が形成され、全体の20~30%程に達する。
乳幼児期は複数の子竜たちに囲まれた部屋で生活するものの、基本的には母親(竜族)であるヒト族に近い環境で育てられることから、竜との絶対的(本能的)な信頼関係を築きあげるのに時間がかかる。なぜか母体が竜族の場合、その子供は耳がやや尖りぎみで、鋭い八重歯が生えやすい。
 
《共通》
10歳頃から、竜の体液(血液,唾液,精液など)を摂取し始める。
母体が竜の場合は竜と濃密な接触をして育つため大きな問題はおきないが、母体が竜族の場合は最初の頃だけ拒絶反応を起こす場合がある。
竜の体液には、竜が持つ特有の波長を持つ高濃度の魔力が含有されており、竜族以外にとっては猛毒である。大抵の生体はこれを摂取すると発狂し、多くの場合死亡する。(このため、竜の返り血を浴びても死ぬと言われている)
竜族は定期的に竜の体液を摂取することで、表皮に残った竜の鱗の硬度を維持すると共に、竜との繋がりを強固なものとする。長期間竜の体液を摂取せずにいると、やがて鱗は魚の鱗のように薄くなり、徐々に剥がれおちていく。一度失われた鱗は二度と復活することはない。それに伴う痛みや副作用はないが、鱗の面積や硬度は竜との繋がりの強さを視覚的に表す基準ともなるため、推奨されない。王族であれば国民の支持をも失うことになるため致命的である。
逆に、ヒト族と生きることを選ぶ場合は、わざと体液の摂取を止めて十数年ほどかけてヒト族と大差ない個体に変ずる道を選ぶ者も居る。