辺境の集落エリアル

クネ王国 の東部の湖畔にあった辺境の集落。
 
ティラル は4歳で ファンザム帝国 を脱してから13歳になるまでの間、この辺境の集落エリアルでクネ王国と エリム竜王国 の庇護下に置かれてひっそりと平和に生活していた。
 
ここではクネ王国にあてがわれた母親代わりの女性 ソルサナツキ との3人で暮らしており、ティラルとナツキはソルサのラスティーン姓を名乗っていた。
集落に歳の近い子供は居なかったが、 エルダ樹海 が近い事もあって、樹海に棲む様々な動物が ニュート との 混血種 であるティラルを慕い、彼の元を訪れていたため退屈はしなかった。
また、 《見聞兵(オコ)》 を率いて度々訪ねてくるクネ王国の第二王子 アムル に様々な書物を与えられることで、自分と外界を繋ぐものとして読書に熱中するようになる。
ティラルはその間も自身の出自についてナツキに言い聞かせられていたため、自身がファンザム帝国の第一皇子であることは認識はしていたが、彼の記憶は虫に食われるかのように徐々に失われていった。
記憶の部分的な欠損の進行は、集落を発ってからも イニスの里 に至るまで続いた。
 
なおこの集落とその一帯は、13歳になったティラルに追手がかかったという情報を受けた翌晩に、ティラルの生きた痕跡の一切を残さないため、クネ王国の兵士によって住人ごと焼き払われた。(公式には疫病の蔓延による焼却処理として記録されている)