「月」は《 星 》を照らす衛星の呼称。
「月」が特別視されるのは昔の我々と同じ感覚から来るものと思われ、ひときわ明るい光で夜道を照らしてくれることから、月は特別な力を持つ神聖なものとされている。 神話時代 から存在している《 月信仰 》は宗派を問わず広く受け入れられており、いまも両大陸の民から信仰されている。月信仰のある地方では「月」は「神の眼」と呼ばれ、眠りとまどろみを繰り返す神の瞳そのものであるとされ、新月を「深い眠りの日」、満月を「束の間の目覚めの日」と言い表す。
信仰の有無に関わらず、事実として月が満ちれば 精霊 の力は高まり、逆に新月にもなれば精霊の力は極端に弱まるため、精霊の影響を受けて生きる種族や魔力の強さなどにも月の朔望の影響ははっきりと現れる。
また、新月の夜は地を照らすものが空の星々しかないため暗く闇色が深いことや、『月が見えない=神が瞳を閉じている』ため神が見ていないという迷信から、盗みなどの犯罪が多い。
 
月染めの夜
この《星》では、《 月染めの夜 》と呼ばれる満月が染まる自然現象が9年周期で起きる。
平時には淡い黄金色の月が、その夜は 西の大陸 では赤に、 東の大陸 では白に染まる。 エーリエル諸島 ではこの現象は見られない。
西の大陸の「緋月」は忌まれており、人々は降りかかる災いをその身に浴びないために外出を控え、火を消し、慎ましく過ごす。赤い月は「邪神の眼」とも呼ばれており、その地の多くの子供は「邪神の眼と目を合わせてはいけない」と言われ育てられる。実際にその邪神の眼に当たられたかは分からないが、赤い月の夜は動物の異常行動や凶悪な犯罪、不吉な事象が多い。
一方、東の大陸の「蒼月」は人々に神聖視されており、月信仰の強い地域では老若男女問わず白く清潔な衣類を身にまとい、屋外にて神に祈りを捧げながら月光浴をする。
 
ナツキ竜族 )も月信仰のもと、 ティラル《神》 に見つからないようにと考えて、大きな行動を起こすのは決まって新月の日(神が目を閉じている日)である。
また、ティラルが日没と共に眠ってしまうのは、彼の体に流れる「ベルティナ家」の血が月光に反応するのを防ぐため。もしくは、彼の宿す 《光の紋章》 が「宿主であるティラルが《神》に見つからないように」と、眠りを促しているからとも考えられている。